福井県

賀茂神社

〒910-3644 福井県福井市加茂町7−1

賀茂神社は、福井市の南西、志津川沿いの小高い森に鎮座する古社です。養老元年(717年)に京都の賀茂両宮の神霊を勧請したと伝わり、「賀茂下上大明神」と尊称されます。安倍晴明公の師と伝わる賀茂氏を遠祖に仰ぎ、その秘伝書に基づく三百種を超える守札で知られます。

由来・伝承

社伝によれば、養老元年(717年)、社家・廣部氏の祖である廣部民部が、京都の賀茂御祖神社(下鴨神社)と賀茂別雷神社(上賀茂神社)の御神霊をこの地に奉斎し、「賀茂下上大明神」と尊称したのが始まりと伝わります。『延喜式』神名帳に載る丹生郡の「雷神社」に比定される式内社の論社で、近代の社格は郷社。神職は創建以来、廣部家が代々奉仕し、現宮司で四十五代を数えると社伝は記します。

その後の崇敬も厚く、天慶年間(938〜947年)に越前国司であった源満仲の寄進を受けたのをはじめ、南北朝時代には護良親王から社領の寄進と諸役免除を、戦国時代には朝倉家からの諸役免除、羽柴秀吉・丹羽長秀の禁制の下付を受け、江戸時代には福井藩主松平家の代替わりごとに社参があったと伝わります。天正年間の一向一揆で社殿が兵火に遭い、元禄年間と明和三年(1766年)にも火災に見舞われましたが、そのたびに再建され、本殿は文化十四年(1817年)、拝殿は大正六年(1917年)に建て直されました。

陰陽道との縁は、この社が仰ぐ遠祖・賀茂氏にあります。京都の賀茂氏、なかでも賀茂忠行・保憲父子は晴明公に陰陽道を伝えた師と伝わり、当社は「遠祖賀茂氏より伝えられし秘伝書」によって三百種以上の守札を奉製すると社伝に記しています。晴明公自身がこの地を訪れた伝承ではありませんが、晴明公が学んだ賀茂の道が越前の古社に受け継がれている、という縁です。

見どころ

大鳥居

元禄十年建立の両部大鳥居

参道の正面に立つ朱塗りの大鳥居は、元禄十年(1697年)に建立された両部鳥居で、本柱の間隔六・七五メートル、高さ八・一メートル。「賀茂下上大明神」と記された扁額は高さ二メートルに及び、福井藩の儒学者・伊藤坦庵の筆と伝わります。

福井県指定有形文化財で、令和二年(2020年)に解体修復を終え、令和四年(2022年)には創建千三百年を祝う奉祝大祭が営まれました。二本の縄を一本に締め込んだ注連縄は、夫婦和合を表すと伝わります。

本殿と干支守護社

拝殿の背後、石垣を築いた高台に本殿と両脇社が並び、境内には京都の賀茂御祖神社から御分霊を受けた干支守護社があります。

三百種以上の守札と夢御神籤

授与所では、秘伝書に基づく三百種以上の守札のほか、自ら願いを書き入れる「夢御神籤」などを受けることができます。

年中行事

睦月神事
四年に一度、二月十四日直後の日曜日。国指定重要無形民俗文化財(昭和五十三年指定、文化庁の登録名は「睦月神事の芸能」)。天下泰平・五穀豊穣を祈る田遊びの一種で、大森町の氏子が獅子神楽や大名行列とともに練り歩き、稚児の田楽踊、青年の田遊びを奉納します。鎌倉時代から約八百年続くと伝わり、直近では2023年に斎行、次回は2027年
その他
葵祭・祇園祭・初午稲荷祭が古くからの大祭と伝わります。流鏑馬や競べ馬も盛んでしたが、天正の兵乱以後に中絶したと社伝は記します

睦月神事の日程は年ごとに公式サイトで案内されます。

アクセス

所在地
福井市加茂町7-1
参拝
境内自由。参拝料なし。社務所で御守・御朱印の授与あり
車
JR福井駅から南西へ約11キロ。第二参道側に駐車場(約百台)

参道は長く、境内は森に囲まれています。冬季は積雪に注意してください。

周辺の関連スポット

  • 木田神社(福井市西木田)——境内に晴明公を祀る晴明神社がある木田郷の総鎮守。火伏せの神として信仰されます。
  • 晴明神社(敦賀市相生町)——晴明公が天文の研究に励んだと伝わる地。御神体の祈念石を小窓から拝みます。
  • 天社土御門神道本庁(おおい町名田庄)——晴明公を始祖とする土御門家が陰陽道宗家として祭祀を伝える本庁。

社伝が「晴明公の師」とする賀茂氏──賀茂忠行・保憲父子と晴明の師弟関係、暦道の賀茂家と天文道の安倍家の分岐は、読み物「安倍晴明の師・賀茂忠行と保憲」で『今昔物語集』の原文から整理しています。

よくある質問

安倍晴明公と賀茂神社はどんな関係ですか。
社伝は、京都の賀茂両宮を勧請した当社の遠祖・賀茂氏を「陰陽師 安倍晴明の師匠」とし、その秘伝書に基づいて守札を奉製していると記します。賀茂忠行・保憲父子は晴明公に陰陽道を伝えた師と伝わる人物です。晴明公本人の来訪伝承ではありません。
睦月神事はいつ見られますか。
四年に一度、二月十四日直後の日曜日に大森町で奉納されます。直近は2023年で、次回は2027年です。
大鳥居は文化財ですか。
元禄十年(1697年)建立の両部鳥居で、福井県指定有形文化財です。扁額は福井藩儒・伊藤坦庵の筆と伝わり、令和二年に解体修復されました。

出典・参考

社寺・関係者の方へ:掲載内容の訂正、写真のご提供、取材・掲載のご相談はお問い合わせからお願いいたします。

最終更新:2026年9月5日

御祭神
別雷神・玉依姫命・大己貴命・伊賀古夜比賣命(配祀 神武天皇・弓矢大神)
創建
養老元年(717年)と伝わる
社格
式内社「雷神社」論社・旧郷社
文化財
大鳥居(福井県指定有形文化財)・睦月神事の芸能(国指定重要無形民俗文化財)
参拝
境内自由・参拝料なし
所在地
〒910-3644 福井県福井市加茂町7−1
地図
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