能満寺
能満寺は、大井川の河口に近い吉田町片岡、小山城跡の麓に建つ臨済宗妙心寺派の禅寺です。本堂の前に立つ国指定天然記念物「能満寺のソテツ」は日本三大ソテツの一つに数えられ、安倍晴明公が大蛇を葬った上に植えたと伝わります。徳川家康の「泣くソテツ」の伝説でも知られます。
由来・伝承
能満寺は山号を吉祥山といい、本尊は虚空蔵菩薩。行基が三体の虚空蔵菩薩の一つを安置したのが始まりと伝えられます。公式サイトと吉田町の資料によれば、鎌倉建長寺の開山・蘭渓道隆の法孫にあたる定門が、弘長二年(1262年)四月、亀山天皇の許しを得て生国の初倉庄片岡郷に一寺を開き「吉祥山能満福智禅寺」と名づけたのが開創で、元寇の際には勅願寺として官寺に列せられました。大井川の氾濫で一度流失したのち武田信玄が再興し、江戸時代には徳川家康の庇護を受けたと伝わります。武田勝頼の判物や家康の禁制写など、戦国末期から江戸初期の寺の変転を物語る古文書は、吉田町の指定文化財です。遠州臨済三名寺の一つに数えられます。
本堂前のソテツが晴明公と結びつくのは、寺に伝わる次の伝説によります。諸国を巡っていた晴明公が、大井川を流れてきた大蛇を見つけてこれを葬り、その上にソテツを植えた。するとソテツは大蛇の精を受けて大きく、大蛇のような姿になった。そこで晴明公は、人々に害を与えないように大蛇の精を封じたという——。樹齢は千年ともいわれ、植えた時期を長徳元年(995年)ごろとする案内もあります。うねりながら四方に伸びる幹は、たしかに大蛇の群れを思わせる姿です。
吉田町に伝わるもう一つの伝説が「泣くソテツ」です。領内を巡視していた家康が能満寺で休み、庭の大ソテツに感嘆して所望した。和尚は断りきれず、ソテツは住吉の浜から船で清水の港へ運ばれ、駿府城に届けられた。ところが数日後の夜から庭に「いのー、いのー」と声がし、学者に問えば「帰りたいという意味でしょう」という。家康はソテツの心根を哀れみ、能満寺へ帰した。戻ったソテツはその後泣くこともなく、すくすくと育ったと伝わります。
見どころ
「能満寺のソテツ」は大正十三年(1924年)十二月九日、堺の妙国寺、清水の龍華寺のソテツとともに日本三大ソテツの一つとして国の天然記念物に指定された雄株です。吉田町の資料によれば、主幹は根回り4.5メートル、地面で数十本の大小の枝に分かれ、大枝三本、中枝十一本を数えます。高さは約6メートル、大小九十本の枝が南高北低の樹形をつくり、約80平方メートルに広がります。西へ伸びた枝は昭和五十四年(1979年)の台風で折れましたが、平成六年の計測でも東西7.5メートル、南北10.5メートルの大きさを保っています。本堂の前に立ちふさがるように茂る姿は、遠州七不思議の一つにも数えられてきました。背後の能満寺山は武田氏の小山城跡で、能満寺山公園として整備され、展望台小山城が建っています。
アクセス
- 所在地
- 静岡県榛原郡吉田町片岡2517-1
- 拝観
- 境内自由。ソテツの公開は随時(9:00〜17:00が目安)
- バス
- しずてつジャストライン「片岡北吉田特別支援学校」バス停下車、徒歩約5分(JR静岡駅から静岡相良線、JR島田駅からも路線あり)
- 車
- 東名高速「吉田IC」から約5分。能満寺山公園の駐車場を利用
法要や行事の際は拝観できないことがあります。最新の情報は公式サイトでご確認ください。
周辺の関連スポット
- 晴明塚(掛川市大渕)——晴明公が津波除けの祈祷をしたと伝わる、遠州七不思議の塚。
- 福王寺(磐田市城之崎)——晴明公の祈祷が暴風を鎮めたと伝わる「風祭山」の古刹。
- 翁稲荷社(静岡市駿河区)——駿府で唯一、晴明公を主祭神に祀る商店街の小さな神社。
よくある質問
- 能満寺のソテツはなぜ安倍晴明とゆかりがあるのですか。
- 寺伝では、晴明公が大井川を流れてきた大蛇を葬り、その上にソテツを植えたと伝わります。ソテツは大蛇の精を受けて大蛇のような姿になり、晴明公が人々に害を与えないようその精を封じたといいます。
- ソテツの大きさと樹齢はどのくらいですか。
- 樹齢は約千年と伝わります。主幹の根回りは4.5メートル、高さ約6メートルで、大小九十本の枝が約80平方メートルに広がります。大正十三年(1924年)に国の天然記念物に指定されました。
- 拝観に予約や料金は必要ですか。
- 境内は自由に参拝でき、ソテツは本堂前で随時見学できます(9:00〜17:00が目安)。駐車場は隣接する能満寺山公園のものを利用できます。
出典・参考
- 臨済宗妙心寺派 吉祥山能満寺 公式サイト(寺の歴史、ソテツの晴明伝説と泣くソテツの伝説、古文書)
- 吉田町「文化財 能満寺のソテツ」(指定日・指定事由・寸法の実測値・伝説)
- 静岡県 しずおか文化財ナビ「能満寺のソテツ」(指定年月日・公開時間・駐車場)
- 文化庁 国指定文化財等データベース「能満寺のソテツ」(天然記念物指定・調査報告の記載)
- 静岡県「能満寺山公園」(バスでのアクセス)
社寺・関係者の方へ:掲載内容の訂正、写真のご提供、取材・掲載のご相談はお問い合わせからお願いいたします。
最終更新:2026年10月7日
- 宗派
- 臨済宗妙心寺派(山号 吉祥山)
- 本尊
- 虚空蔵菩薩
- 開創
- 弘長二年(1262年)・定門
- 晴明公ゆかり
- 能満寺のソテツ(国指定天然記念物・日本三大ソテツ)
- 拝観
- 境内自由(9:00〜17:00目安)・駐車場あり
- 所在地
- 〒421-0303 静岡県榛原郡吉田町片岡2517−1
- 地図
- Googleマップで見る
- 公式サイト
- https://nomanji.jp/