AREA GUIDE

大阪・奈良の安倍晴明ゆかりの地 巡り旅

公開日:

阿倍野の生誕伝承地、母・葛の葉の里の信太の森、そして安倍一族の氏寺・安倍文殊院へ。晴明公の生誕をめぐる二つの土地と、母の里を、車なら1日、電車なら半日ずつ二回でたどる巡り旅です。

この旅の三つの地点は、土御門家が宝暦四年(1754年)に定めた晴明公の七箇所の旧跡のうち、安倍文殊院(第一)、安倍晴明神社(第二)、信太明神(いまの信太森葛葉稲荷神社)にあたります。晴明公の生誕地には、阿倍野(大阪)、安倍(奈良)などの伝承が並び立ちますが、星詣はどれかに断定せず、各地の伝承として紹介します。

池に映る金閣浮御堂(安倍文殊院)
安倍文殊院の金閣浮御堂(奈良県桜井市)

この旅のあらまし

所要
車で1日(電車なら半日×2)
地点
4か所:阿倍王子神社・安倍晴明神社(阿倍野)、信太森葛葉稲荷神社(和泉市)、安倍文殊院(奈良・桜井)
見どころ
晴明公の生誕を伝える二つの土地(阿倍野と桜井の安倍)と、母・葛の葉の里
回る時間
安倍晴明神社の社務所は11:00〜16:00(不在時は阿倍王子神社へ)。安倍文殊院は9:00〜17:00、年中無休。安倍文殊院の本堂は、2024〜2026年の耐震工事の期間で、工事の内容によっては、本堂内の一部に入れない場合がある(公式のお知らせ)
移動
車が基本。電車なら阪堺電車・JR阪和線・近鉄大阪線を使う

この旅の歩き方

車なら1日で回れます。朝9時に阿倍王子神社(社務所は9時から)を参拝し、約50メートル北の安倍晴明神社へ。安倍晴明神社の社務所は11時からで、不在のときは阿倍王子神社で御朱印と授与品を受けられます。そこから信太森葛葉稲荷神社(車で約20分)、昼をはさんで、奈良の安倍文殊院(車で約45分)へ。文殊院は9時から17時まで、年中無休です。電車なら、阿倍野と信太の森の半日、桜井の半日、の二回に分けるのがおすすめです。阿倍野は阪堺電車「東天下茶屋」から徒歩約5分、信太の森はJR阪和線「北信太」から徒歩約5分、文殊院は近鉄大阪線・JR万葉まほろば線の「桜井」駅から南へ徒歩約20分、またはバス(公式の案内図では、桜井駅から約7分。系統とバス停は、事前にご確認ください)です(大阪上本町から桜井まで、近鉄の区間急行で約46分が目安)。車の所要時間は地図データからの目安で、渋滞や季節で変わります。

地図で見る

マーカーを押すと地点ページへ。地図には大阪府の3か所を表示します。阿倍野の2社は約70メートルしか離れていないので、地図を拡大すると分かれます。奈良県桜井市の安倍文殊院は、地図の範囲の外にあります(阿倍野から車で約45分)。コースの線は、地点を順に結んだ目安(直線)です。

阿倍野から信太の森へ(半日)

半日

一生誕を伝える阿倍王子神社・安倍晴明神社[9:00/90分]

阿倍野の旧熊野街道に面して、阿倍氏の氏神と考えられる阿倍王子神社と、その境外末社で晴明公の生誕伝承地に建つ安倍晴明神社が、約50メートルを隔てて並ぶ。晴明公を出した一族の氏神から、花山法皇の命で寛弘四年(1007年)に創建されたと伝わる生誕の社へ。阿倍王子神社は、熊野九十九王子のうち大阪府内で唯一、旧地に現存する王子社でもある。

阿倍王子神社

ここを見る

  • 鳥居の前の「もと熊野街道」の碑と、旧熊野街道
  • 保存樹に指定された楠の大木
  • 八咫烏大神の御烏尊像と、天王寺蕪の顕彰碑
  • 境内社の葛之葉稲荷社(4月の初午祭)
阿倍王子神社の石の鳥居と参道
阿倍王子神社の鳥居と参道(左に「もと熊野街道」の石碑)

見どころ|鳥居の左に、「もと熊野街道」の石碑が立つ。鳥居をくぐった参道の奥に、拝殿が見える。

歴史|鳥居の前を通る道が、かつての熊野街道。阿倍王子神社は、京都から熊野三山へ向かう道すじに置かれた王子社のひとつで、大阪市の顕彰を受けている。鎌倉時代には後鳥羽上皇が祈祷し、江戸時代には境内の茶屋で旅人が休んだ記録が残る。

阿倍王子神社の拝殿
阿倍王子神社の拝殿
阿倍王子神社の拝殿と狛犬
拝殿と狛犬(斜めから)
阿倍王子神社の境内社の社殿
境内社の春夏冬社

見どころ|朱塗りの拝殿を、正面と斜めから。拝殿の前に狛犬が並ぶ。境内には、「春夏冬社」の額を掲げた小さな社もある。

歴史|仁徳天皇の創建と伝わり、一説には古代豪族・阿倍氏の創建ともいわれる。阿倍氏の氏神と考えられ、境外末社の安倍晴明神社は、北へ約50メートルに鎮座する。社に伝わる縁起絵巻(大阪市の文化財の紹介)は、仁徳天皇が、三足の霊烏の降りた阿倍野に王子神社を創建したことなどを述べる。旧本殿は、国の登録有形文化財。

時間
社務所 9:00〜17:00(祈祷受付 9:00〜15:30・年中無休)
料金
—
アクセス
阪堺電気軌道上町線「東天下茶屋」停留場から徒歩約5分(天王寺駅前から電車約5分、あびこ道・浜寺公園方面行き)。坂を上り四つ角を右へ50メートル、熊野街道を進み安倍晴明神社の先(公式案内)

社務所 9:00〜17:00。神殿祈祷の受付は9:00〜15:30(年中無休・予約不要)。安倍晴明神社の社務所が不在のときは、ここで御朱印と授与品を受けられる

詳しい由緒と出典は /places/53/

安倍晴明神社

ここを見る

  • 安倍晴明誕生地の碑と産湯井の跡
  • 鎮石(孕み石)
  • 葛之葉霊狐の飛来像
安倍晴明神社の晴明公の銅像
晴明公の銅像(安倍晴明神社)

見どころ|晴明公の銅像の足元に、狐の像が寄り添う。境内には、このほか、泰名稲荷神社と、葛之葉霊狐の飛来像がある。

歴史|泰名稲荷神社は、伝説上の父・安倍保名の名を冠し、葛之葉霊狐の飛来像は、母・葛之葉姫の物語を伝える。大阪市は、この地を「安倍晴明公生誕伝承地」として顕彰している。

安倍晴明神社の本殿と参道
安倍晴明神社の本殿と石畳の参道
安倍晴明神社の本殿と狛犬
本殿と狛犬(斜めから)

見どころ|本殿の扁額「安倍晴明神社」と、両脇の狛犬。石畳の参道が、本殿へまっすぐ延びる。参道の右手には、絵馬が並ぶ。

歴史|社伝『晴明宮御社伝書』によれば、花山法皇の命により、寛弘四年(1007年)に創建されたと伝わる。本殿、拝殿及び幣殿、透塀は、国の登録有形文化財。境内はおよそ百八十坪の小さな社地で、大阪市は社域全体を保存樹林としている。

時間
社務所 11:00〜16:00(不在時は阿倍王子神社)
料金
—
アクセス
阪堺電気軌道上町線「東天下茶屋」停留場から徒歩約5分(天王寺駅前から電車約5分)。坂を上り四つ角を右へ50メートル、熊野街道を進むと右手(公式案内)

社務所 11:00〜16:00(不在時は阿倍王子神社)。七夕祭(7月7日)と大祭(9月26日)は、いずれも午後2時

詳しい由緒と出典は /places/52/

次へ:阿倍野から和泉市へ、車で約20分(約16km。目安)。電車なら、天王寺からJR阪和線で鳳へ(快速で約17分)、普通に乗り換えて北信太へ(約4分)

二母の里信太森葛葉稲荷神社[10:50/50分]

和泉市葛の葉町に鎮座する信太森神社(通称・葛葉稲荷神社)は、公式の由緒で創建は和銅元年(708年)。阿倍野の若者・安倍保名と、白狐の化身・葛の葉姫のあいだに生まれた子が晴明公と語り継がれ、晴明公の母の里とされる。白狐が姿を隠したと伝わる楠の巨木「千枝の楠」(和泉市指定天然記念物)、姿見の井戸、和泉式部の歌碑と芭蕉の句碑が境内に残る。

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  • 千枝の楠(和泉市指定天然記念物)
  • 姿見の井戸と白狐石
  • 和泉式部の歌碑と芭蕉の句碑
  • 夫婦楠と子安石
信太森葛葉稲荷神社の朱の鳥居と参道
朱の鳥居と参道(信太森葛葉稲荷神社)

見どころ|朱の鳥居が奥へ連なり、参道の両側に石灯籠が並ぶ。参道は、木々に囲まれている。

歴史|正式な名称は信太森神社で、「葛葉稲荷神社」「信太森葛葉稲荷神社」は通称。公式の由緒によれば、阿倍野の若者・安倍保名が、家の再興を願って、信太の森の稲荷に日参していた。

信太森葛葉稲荷神社の拝殿
拝殿と狛狐
信太森葛葉稲荷神社の狛狐
狛狐

見どころ|拝殿の前に、狛狐と赤い幟が並ぶ。もう1枚は、首に赤い布を掛けた狛狐。

歴史|稲荷の神使である狐が、この社では、宇迦之御魂大神・素戔嗚尊とともに、神そのものとして敬われている(公式の由緒)。保名と葛の葉姫の物語は、歌舞伎・文楽の『蘆屋道満大内鑑』「葛の葉子別れ」として、今も上演される。

注連縄を巻いた境内の大木
注連縄を巻いた境内の大木

見どころ|注連縄を巻いた大木の幹。境内には、白狐が姿を隠したと伝わる楠の巨木「千枝の楠」(和泉市指定天然記念物)と、一本の幹が二手に分かれる夫婦楠がある。

歴史|夫婦楠は、良縁祈願・夫婦円満の信仰を集める。商売繁盛・開運招福を願う張り子の狐も、この社ならではの授与品。

時間
境内自由(社務所とご祈祷は公式サイトで確認)
料金
—
アクセス
JR阪和線「北信太」駅から徒歩5分(公式サイト「アクセス」)。天王寺からは阪和線快速で鳳(約17分)、普通に乗り換えて北信太(約4分)。所要時間は目安

境内自由。住宅地の中に鎮座するので、静かに参拝を

詳しい由緒と出典は /places/54/

ひと休み

桜井市周辺(昼食)(休憩所)

昼食は文殊院へ向かう途中か、桜井駅周辺で。個店は挙げません

奈良・桜井の安倍文殊院(半日)

半日

三発祥の地安倍文殊院[13:30/90分]

奈良県桜井市の安倍文殊院は、大化元年(645年)に安倍倉梯麻呂が安倍一族の氏寺として建てた安倍寺に始まる、華厳宗東大寺の別格本山。本尊は快慶作の渡海文殊菩薩(国宝)。寺の口伝では、晴明公は延喜二十一年(921年)にこの安倍の地で生まれ、幼少期に天文観測を学んだとされ、境内に晴明堂と「安倍晴明公 天文観測の地」がある。土御門家は、ここを晴明公七箇所の旧跡の第一「安倍家の発祥地」とした。

ここを見る

  • 本堂(文殊堂)と国宝・渡海文殊
  • 金閣浮御堂(北斗の尊名を祀る)
  • 天文観測の地と晴明堂
  • 晴明公直伝と伝わる結界札
安倍文殊院の金閣浮御堂とコスモス
秋のコスモスと金閣浮御堂(安倍文殊院)

見どころ|池に浮かぶ金閣浮御堂と、手前に咲くコスモス。春は桜、秋はコスモスが、お堂の周りを彩る。秋の寺宝展(9月1日〜11月30日)では、金閣浮御堂で秘仏の十二天が公開される(公式のお知らせ)。

歴史|金閣浮御堂には、弁財天、安倍仲麻呂、安倍晴明公が祀られ、方位災難除けの信仰を集める。陰陽道の泰山府君神と鎮宅霊符神は、ここで「北斗天罡消災解厄星尊」「北辰鎮宅霊應如意天尊」の尊名で、九曜星とともに祀られる(天罡は北斗七星、北辰は北極星を指す)。

安倍文殊院の表山門と石柱
表山門と「日本三文殊第一霊場」の石柱
安倍文殊院の本堂とコスモスの鉢
本堂と、コスモスの鉢

見どころ|表山門の石柱には「日本三文殊第一霊場 安倍文殊院」とある。本堂の前には、コスモスの鉢が並ぶ。

歴史|創建の安倍寺は、永禄六年(1563年)の兵火で伽藍の多くを失い、寛文五年(1665年)に現在の本堂(文殊堂)が再建された。本尊の文殊菩薩は高さ約7メートルで快慶作といわれ、渡海文殊の群像は国宝。京都・天橋立切戸、山形・奥州亀岡とともに、日本三文殊に数えられる。境内の西古墳は国の特別史跡で、安倍一族の墳墓と伝わる。

参拝の前に|本堂は、2024年〜2026年の耐震工事の期間にあたる。工事の内容によっては、本堂内の一部に入れない、通常と異なる場所での参拝や祈祷になることがある(公式のお知らせ)。出かける前に、公式サイトで確認を。

時間
9:00〜17:00(年中無休)
料金
大人 本堂700円・金閣浮御堂霊宝館700円・共通参拝1,200円
アクセス
近鉄大阪線・JR万葉まほろば線「桜井」駅から南へ徒歩約20分。駅の北出口・南出口にタクシー乗り場がある(公式サイト「アクセス」)

拝観 9:00〜17:00(年中無休)。大人は本堂700円、金閣浮御堂霊宝館700円、共通参拝1,200円(料金は変わることがあります)。本堂は耐震工事の期間にあたり、工事の内容によっては、通常と異なる場所での参拝になることがある(公式のお知らせ)

詳しい由緒と出典は /places/55/

次の旅へ:七箇所の旧跡の残りを訪ねる

土御門家が定めた晴明公の七箇所の旧跡は、福井、京都にも残っています。星詣の各地点のページから、それぞれの由緒をたどれます。

参拝の実用情報

地点時間料金アクセス駐車場
阿倍王子神社社務所 9:00〜17:00(祈祷受付 9:00〜15:30・年中無休)—阪堺電気軌道上町線「東天下茶屋」停留場から徒歩約5分(天王寺駅前から電車約5分、あびこ道・浜寺公園方面行き)。坂を上り四つ角を右へ50メートル、熊野街道を進み安倍晴明神社の先(公式案内)境内に数台分(満車時・祭礼時は近隣の駐車場)
安倍晴明神社社務所 11:00〜16:00(不在時は阿倍王子神社)—阪堺電気軌道上町線「東天下茶屋」停留場から徒歩約5分(天王寺駅前から電車約5分)。坂を上り四つ角を右へ50メートル、熊野街道を進むと右手(公式案内)阿倍王子神社に数台分(満車時・祭礼時は近隣の駐車場)
信太森葛葉稲荷神社境内自由(社務所とご祈祷は公式サイトで確認)—JR阪和線「北信太」駅から徒歩5分(公式サイト「アクセス」)。天王寺からは阪和線快速で鳳(約17分)、普通に乗り換えて北信太(約4分)。所要時間は目安—
安倍文殊院9:00〜17:00(年中無休)大人 本堂700円・金閣浮御堂霊宝館700円・共通参拝1,200円近鉄大阪線・JR万葉まほろば線「桜井」駅から南へ徒歩約20分。駅の北出口・南出口にタクシー乗り場がある(公式サイト「アクセス」)有料駐車場あり(乗用車200台)

時間・料金は変更されることがあります。各地点ページの出典(公式サイト)でご確認ください。

この地域の記録

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クレジット・出典

調査・執筆:星詣編集部(土御門奉賛会)。一次資料と各社寺の公式資料に基づく。現地確認日:なし。掲載写真のうち「イメージ」と表記したものは、その地点の実際の写真とは限りません。

最終確認:2026-10-04

写真:PIXTA