AREA GUIDE

和歌山県の安倍晴明ゆかりの地 巡り旅

公開日:

龍神村の安倍晴明社と猫又の滝、熊野古道中辺路の腰掛け石、本宮町の蛭伏石、そして千日の滝行の那智へ。熊野を旅する晴明公が、妖怪を封じ、山崩れを止め、蛭を伏せたと伝わる足あとを、西から東へたどる巡り旅です。車なら2日。

熊野の晴明伝説には、同じ型の話が重なります。「蛭」の話は、龍神村の殿原(安倍晴明社の近く)にも本宮町の皆地にもあり、「腰掛け石」の話は、殿原(南方熊楠の記録)にも中辺路町の野中にあります。このページでは、所在地を添えて呼び分けます。

水田の向こうに立つ大斎原の大鳥居
イメージ大斎原の大鳥居(本宮町)
杉の巨木に挟まれた、熊野古道・大門坂の石畳
熊野古道・大門坂(那智勝浦町)

この旅のあらまし

所要
車なら2日(1日目:龍神村・中辺路・本宮の4か所、2日目:那智山)。バスなら、腰掛け石と蛭伏石は龍神バス、那智山は紀伊勝浦駅から南海バス
地点
5か所:安倍晴明社・猫又の滝(龍神村殿原)、安倍晴明の腰掛け石(中辺路町野中)、晴明の蛭伏石(本宮町皆地)、熊野那智大社(那智勝浦町)
駐車場
あるのは、猫又の滝の入口(約3台)と、那智山(熊野那智大社の神社駐車場30台・神社防災道路通行料800円。大門坂の登り口前に無料駐車場)。安倍晴明社・腰掛け石・蛭伏石の近くには駐車場がない
回る曜日
熊野那智大社の宝物殿は水曜休館(8:30〜15:30)。社務所の受付は概ね8:00〜16:30で、日没後の夜間の参拝は遠慮を。10月25日は、那智の田楽の50周年記念公演(那智勝浦町体育文化会館)
移動
車で、安倍晴明社から猫又の滝へ約4分、猫又の滝から野中へ約31分、野中から皆地へ約14分、皆地から那智山へ約46分(目安)

この旅の歩き方

この旅は、熊野を旅する晴明公の足あとを、西から東へたどります。1日目は、龍神村から熊野古道中辺路を経て、本宮町へ。安倍晴明社と猫又の滝(殿原)、腰掛け石(野中)、蛭伏石(皆地)の4か所を、南紀田辺ICから約1時間の龍神村を起点に回ります。2日目は那智山で、熊野那智大社の石段と大門坂、那智の滝へ。1日で回れなくはありませんが、皆地から那智山までの移動が約46分あり、那智で半日以上かかるため、2日に分けるのがおすすめです。車が基本です。駐車場があるのは、猫又の滝の入口(約3台)と、那智山(熊野那智大社の神社駐車場30台、神社防災道路通行料800円。大門坂の登り口前にも無料の駐車場)で、安倍晴明社・腰掛け石・蛭伏石の近くには駐車場がありません。安倍晴明社と猫又の滝は、公共交通の便がよくありません。バスなら、紀伊田辺駅から龍神バス熊野本宮線で、腰掛け石(「野中一方杉」バス停)と蛭伏石(「皆地」バス停)へ。2026年9月19日から12月10日までは、1日1往復の「熊野古道快速バス」も走ります。快速バスは、野中一方杉には停まりますが、皆地には停まりません。通常便の時刻表で確かめてください。那智山へは、JR紀勢本線の紀伊勝浦駅から熊野御坊南海バス「那智山」行きで約30分です。「大門坂」バス停で降りて、石畳を登ることもできます。帰りの便も、時刻表で確かめてください。熊野那智大社は、社務所の受付が概ね8:00〜16:30で、日没後の夜間の参拝は遠慮するよう、公式が案内しています。蛭伏石と腰掛け石は、民家の敷地や軒先にあるので、声をかけてから静かに見学してください。猫又の滝は河原を歩くため、増水時は立ち入らないでください。山あいの道は、通行止めになることがあります。出発前に、田辺市の通行止め情報と、バスの最新の時刻表を確かめてください。徒歩分数は、公式の記載があるもの以外は地図データからの目安です。車の所要時間も地図データからの目安で、渋滞や季節で変わります。

地図で見る

マーカーを押すと地点ページへ。コースの線は、地点を順に結んだ目安(直線)です。龍神村の2か所(安倍晴明社と猫又の滝)は約1kmしか離れていないので、地図を拡大すると分かれます。熊野那智大社は、本宮町から車で約46分、紀伊半島の東の海側にあります。

1日目:龍神村から熊野古道中辺路、本宮へ

1日(約6時間。南紀田辺ICから龍神村まで約1時間を除く)

一妖怪を封じる安倍晴明社・猫又の滝[9:30/20分]

田辺市龍神村の殿原。平安時代の寛和年間、庄司の新九郎のもとに立ち寄った晴明公は、笠塔山に出没して里人や通行人を襲う妖怪を、杖を柱、笠を屋根に見立てて三日三晩の護摩で祈り、猫又の滝に追い込んで祈り伏せたと『龍神村誌』は伝える。滝の岩に梵字を刻み、この字が消えぬうちは出てはならぬと告げて山を下りた、という。晴明公が去ったのちに里人が玉石を見つけて祀ったのが安倍晴明社で、県内で晴明公を祀る社は、ここだけとされる。社から滝へは、笠塔大橋を渡って約650m。

安倍晴明社

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  • 「史跡 安倍晴明社」の標柱と木の鳥居
  • 五芒星(晴明桔梗)の「殿原晴明神社」の絵馬
  • 安倍晴明所縁の地碑と案内板(社から車で約5分)
紅葉の山あいを抜ける道
イメージごまさんスカイタワーからの眺め(龍神村)
渓谷の川沿いに建つ龍神温泉街
イメージ龍神温泉街(龍神村)

見どころ|龍神村の山あいの景色。左は、紅葉の山を抜ける道。右は、渓谷の川沿いに旅館が並ぶ温泉街。安倍晴明社と猫又の滝のある殿原は、この山あいにある。

時間
境内自由(無人の社)
料金
—
アクセス
公共交通の便はよくない。車が基本(南紀田辺ICから約1時間)

無人の社。駐車場なし(笠塔大橋のたもと)。道幅の狭い区間がある

詳しい由緒と出典は /places/36/

猫又の滝

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  • 滝壺と、晴明公が梵字を刻んだと伝わる岩
  • 滝入口から河原を徒歩約5分
  • 笠塔大橋(社から約650m)
時間
見学自由(河原を徒歩約5分。増水時は立ち入らない)
料金
—
アクセス
公共交通の便はよくない。安倍晴明社の前から笠塔大橋を渡って約650m

滝入口に駐車スペース約3台。河原を歩く。増水時は立ち入らない

詳しい由緒と出典は /places/38/

次へ:猫又の滝から中辺路町野中へ、車で約31分(約29km。目安)。山あいの道で、道幅が狭い区間がある

二山崩れを止める安倍晴明の腰掛け石(中辺路町野中)[11:15/30分]

熊野古道中辺路の野中、継桜王子と中ノ河王子の間の民家の軒先に、「とめ石」とも呼ばれる石がある。那智へ向かう途中の晴明公が腰を下ろして休んでいたとき、上方の山がにわかに崩れ始め、法力で食い止めたと伝わる。『中辺路町誌』は、式神を使った呪術でこの地崩れを封じたとも記し、以来この地は地震に最も安全な地と語り継がれてきたという。石は民家の軒先にあり、案内板はない。

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  • 道端の民家の軒先にある石(案内板はない)
  • 継桜王子の「野中の一方杉」
  • 熊野九十九王子の継桜王子と中ノ河王子
巨杉に囲まれた継桜王子の鳥居と石段
継桜王子(中辺路町野中)
継桜王子の鳥居と石段
継桜王子の鳥居と石段(中辺路町野中)

見どころ|巨杉に囲まれた鳥居と、その奥へ上る石段。継桜王子は熊野九十九王子の一つで、境内には「野中の一方杉」と呼ばれる巨杉が立つ。腰掛け石は、ここから旧国道を東へ約600m(地図データからの目安)、継桜王子と中ノ河王子の間の民家の軒先にある。

時間
見学自由(民家の軒先)
料金
—
アクセス
龍神バス熊野本宮線(紀伊田辺駅〜本宮大社前)「野中一方杉」バス停から継桜王子へ。継桜王子から旧国道を東へ約600m(徒歩約10分。地図データからの目安)

民家の軒先。駐車場なし・道幅が狭い。バスなら「野中一方杉」から、継桜王子経由で旧国道を東へ約600m

詳しい由緒と出典は /places/40/

次へ:野中から本宮町皆地へ、車で約14分(約12km。目安)。バスなら、同じ龍神バス熊野本宮線の「野中一方杉」から「皆地」へ

三蛭を伏せる晴明の蛭伏石(本宮町皆地)[12:15/60分]

本宮町皆地の四村神社の裏手、大池のそばの民家の敷地に、蛭伏石(ひるぶせいし)と呼ばれる石がある。『熊野の民俗』によれば、蛭に血を吸われて困る百姓のもとへ来た山伏が護摩を焚き、池のほとりの大石に蛭を伏せ込めた。その山伏こそ晴明公であったと伝わり、以来、皆地の蛭は人の血を吸わなくなったという。皆地には、斧を入れても翌朝にはふさがる大楠を、晴明公が占って大池の主の仕業と見抜き、伐らせたという話も残る。石は民家の敷地内にあるので、声をかけてから静かに見学する。

ここを見る

  • 四村神社の石段(約300m)と山頂の社殿
  • 大池のそばの民家の敷地にある蛭伏石
  • 集落を見下ろす鏡山
熊野の山並みと、遠くに見える大斎原の大鳥居
イメージ熊野の山並みと、遠くに大斎原の大鳥居(本宮町)

見どころ|熊野の山並みと、谷あいの平地に立つ大斎原の大鳥居(写真は皆地の景色ではない)。蛭伏石のある皆地は、同じ本宮町の山里にある。

時間
見学自由(民家の敷地内)
料金
—
アクセス
龍神バス熊野本宮線(紀伊田辺駅〜本宮大社前〜湯の峰温泉)「皆地」バス停下車

民家の敷地内。声をかけて静かに見学。石の近くに駐車場はない(バスなら「皆地」下車)。四村神社の石段は約300m

詳しい由緒と出典は /places/39/

ひと休み

本宮大社前・湯の峰温泉周辺(昼食)(休憩所)

蛭伏石のあとの昼食は、本宮大社前・湯の峰温泉周辺で。個店は挙げません

もう半日〜1日:那智山、千日の行の地

半日〜1日(石段・大門坂・那智の滝を含む)

結千日の行熊野那智大社[9:00/180分]

旅の終点は那智。鎌倉初期の『古事談』は、晴明公が俗人でありながら那智で千日の行を修め、毎日滝に打たれたと記す。那智山の古記録『那智山滝本事』『熊野山略記』は、花山法皇の千日籠りを妨げる魔物を、晴明公が式神で岩屋に封じたと伝える。この千日籠りを晴明公が守護したという物語が、熊野各地の晴明伝説の源になっているとされる。四百七十三段の石段を登って着く境内で、これまでの足あとの、行き着く先を見る。

ここを見る

  • 四百七十三段の石段と、朱塗りの社殿
  • 大門坂の石畳(約640m)と、晴明庵・晴明橋の跡と伝わる場所
  • 別宮・飛瀧神社の那智の大滝(落差133m)
朱塗りの三重塔と、奥に見える那智の滝
青岸渡寺の三重塔と那智の滝(那智勝浦町)

見どころ|朱塗りの三重塔の奥に、那智の滝が見える。

時間
社務所の受付は概ね8:00〜16:30(日没後の夜間の参拝は遠慮)。宝物殿 8:30〜15:30(水曜休館)
料金
宝物殿 大人300円
アクセス
JR紀勢本線「紀伊勝浦」駅から熊野御坊南海バス「那智山」行きで約30分。「大門坂」バス停で降りて石畳を登る道もある。終点から石段を徒歩約15分

社務所の受付は概ね8:00〜16:30。日没後の夜間の参拝は遠慮。宝物殿 8:30〜15:30(水曜休館・300円)。神社駐車場30台(通行料800円)。大門坂の登り口前に無料駐車場

詳しい由緒と出典は /places/37/

次の旅へ

晴明公の足あとは、日本各地に残っています。ほかの地域のガイドは、地域から探すページにまとめています。

参拝の実用情報

地点時間料金アクセス駐車場
安倍晴明社境内自由(無人の社)—公共交通の便はよくない。車が基本(南紀田辺ICから約1時間)なし
猫又の滝見学自由(河原を徒歩約5分。増水時は立ち入らない)—公共交通の便はよくない。安倍晴明社の前から笠塔大橋を渡って約650m滝入口に駐車スペース約3台
安倍晴明の腰掛け石(中辺路町野中)見学自由(民家の軒先)—龍神バス熊野本宮線(紀伊田辺駅〜本宮大社前)「野中一方杉」バス停から継桜王子へ。継桜王子から旧国道を東へ約600m(徒歩約10分。地図データからの目安)なし(道幅が狭い)
晴明の蛭伏石(本宮町皆地)見学自由(民家の敷地内)—龍神バス熊野本宮線(紀伊田辺駅〜本宮大社前〜湯の峰温泉)「皆地」バス停下車なし(石の近くに駐車場はない)
熊野那智大社社務所の受付は概ね8:00〜16:30(日没後の夜間の参拝は遠慮)。宝物殿 8:30〜15:30(水曜休館)宝物殿 大人300円JR紀勢本線「紀伊勝浦」駅から熊野御坊南海バス「那智山」行きで約30分。「大門坂」バス停で降りて石畳を登る道もある。終点から石段を徒歩約15分神社駐車場30台(神社防災道路通行料800円)。大門坂の登り口前に無料駐車場(台数の記載なし)

時間・料金は変更されることがあります。各地点ページの出典(公式サイト)でご確認ください。

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クレジット・出典

調査・執筆:星詣編集部(土御門奉賛会)。一次資料と各社寺・自治体の公式資料に基づく。現地確認日:なし。掲載写真のうち「イメージ」と表記したものは、その地点の実際の写真とは限りません。

最終確認:2026-10-06

写真:PIXTA